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【もしかして自閉症かも?】走り方がおかしい子どもの特徴と改善方法

【もしかして自閉症かも?】走り方がおかしい子どもの特徴と改善方法

子どもの走り方が気になる…もしかして自閉症?

 親であれば、子どもの成長に伴うさまざまな変化に疑問を感じることがあるでしょう。特に、子どもの運動能力や身体的な特徴は、その成長のサインの一つです。中でも、走り方は子どもの健康や発達に関する多くのヒントを与えてくれます。しかし、「うちの子の走り方が気になる」「他の子と比べると変な走り方をしてる」などの不安を抱えている保護者の方がいます。

 例えば、子どもがつま先で走る様子を見たとき、多くの親は「なぜこのような走り方をするのだろう?」と疑問に思うかもしれません。このような走り方は一時的なものなのか、それとも何か特別な注意が必要なのか、という悩みは自然なことです。

 子どもの走り方について調べていると、「自閉症」という言葉が出てきて、「うちの子も自閉症なのかも」と不安に思う保護者の方も多いです。そして私たち『へやすぽアシスト』に連絡をしてくださる方もいらっしゃいます。

 この記事では、子どもの走り方が気になる保護者の方の悩みを解消し、実際に走り方を改善する方法をお伝えします。さらに、走り方に関係する自閉症についても解説し、最後まで見ることで適切なサポートができるようになることを目指します。

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そもそも自閉症とは

 それでは自閉症について深く知らない保護者の方に向けて、そもそも自閉症とは何なのかを解説します。「自閉症」という言葉は狭義の意味と、広義の意味があります。

狭義の自閉症

 これは、社会的コミュニケーションの障害、限定された興味や反復的な行動パターンを特徴とする神経発達障害です。自閉症の子どもたちは、しばしば非言語的コミュニケーションの困難や、言語の遅れを示します。また、彼らは特定の興味や活動に強く没頭する傾向があり、変化に対して非常に敏感です。

広義の自閉症:自閉症スペクトラム障害(ASD)

 自閉症スペクトラム障害(ASD)は、自閉症を含む広範な障害のカテゴリーです。ASDは、自閉症の特徴に加えて、アスペルガー症候群やその他の関連する発達障害を含みます。ASDの中には、社会的コミュニケーションの障害が軽度で、特定の知的能力や技能が優れているケースもあります。

 ASDは「スペクトラム」と呼ばれるように、症状の程度や特徴が個人によって大きく異なります。一部の子どもは軽度の社会的コミュニケーションの困難を示す一方で、他の子どもはより顕著な障害を持っていることがあります。

 ASDの原因についてはまだ特定されていませんが、多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる、生まれつきの脳の機能障害が原因と考えられています。胎内環境や周産期のトラブルなども、関係している可能性があります。親の育て方が原因ではありません。

参照:e-ヘルスネット(厚生労働省),ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について

自閉症の子どもの走り方の特徴

 自閉症の子どもたちは、運動パターンにおいて独特の特徴を示すことがあります。これらの特徴は、子どもの運動発達や感覚処理の違いから生じることが多いです。以下は、自閉症の子どもたちの走り方に見られる一般的な特徴です。

つま先で走る

感覚統合の問題や筋肉の緊張、バランスの取り方に関連している可能性があります。

非対称的な走り方

片方の腕や脚を他方よりも異なる方法で使うことがあり、身体の協調性や運動の制御に困難を抱えていることを示している可能性があります。

リズムや速度の変化

走る際のリズムや速度が一定でないことは、運動計画やリズム感の発達に特有の特徴があるためです。

運動の硬さや不自然さ

体が硬く、動きが不自然に見えることがあり、これは筋肉の緊張や運動の協調性に問題があることが原因です。

転びやすい

バランスの問題や運動の協調性の欠如により、自閉症の子どもたちは転びやすいことがあります。これは、不安定な走り方や突然の方向転換が原因で起こることが多いです。

なぜその走り方になるのか

 子どもの走り方がおかしいことは、保護者にとって気になる現象です。これら走り方は、いくつかの理由によって引き起こされることがあります。ある研究(※1)では自閉症の子どもたちや言語障害のある子どもたちにおいて、つま先歩きをしている可能性が高いと報告されています。ただ楽しくてそのような走り方や歩き方をしているわけではないかもしれないのです。

神経発達的要因の影響

 自閉症の子どもたちの場合、神経発達の特性が走り方に大きな影響を与えます。感覚処理の困難、運動協調の問題、筋肉の緊張などが、つま先で走る、非対称的な走り方など特定のパターンにつながります。

 これらの子どもたちは、感覚入力(視覚、聴覚、触覚など)の処理が異なり、それが運動パターンに反映されることがあります。

身体的要因の役割

 足の形状や筋肉の強さ、関節の可動域など身体的な要因も走り方に大きく影響します。例えば、扁平足やアーチの発達不足、筋肉の緊張や柔軟性の不足が、特定の走り方を引き起こすことがあります。

 身体的な不均衡や弱点が、走行時の姿勢やバランスに影響を及ぼし、結果として特定の走り方につながることがあります。

感覚統合の問題とその影響

 自閉症の子どもたちに見られる感覚統合の問題は、バランスや体の位置感覚に影響を及ぼします。自分の体の位置関係をうまく把握できていなかったり、修正することができなかったりすると、その変わった歩行に気が付くこともできず、改善に時間がかかります。

模倣と学習の過程の影響

 子どもたちは周囲の大人や他の子どもたちの動きを模倣することで学びます。変わった走り方はもしかすると、大人の走り方を模倣した結果なのかもしれません。また運動スキルの学習過程で一時的に異なる走り方をすることもあります。定型発達の子ども一時的に変わった走り方をします。子どもたちは運動スキルを発達させる過程で、試行錯誤を繰り返し、最終的にはより効率的な走り方を身につけるのです。

走り方の変化と成長の関連

 子どもの走り方は、成長と発達の過程で変化します。初期の歩行や走行パターンは、しばしば不安定で非効率的ですが、時間と共により洗練され、効率的なものになります。この過程は、子どもの身体的な成長、運動能力の向上、神経系の成熟に伴って進行します。

(※1)Barrow,W,Jaworski, M&Accardo, P. (2011). Persistent Toe Walking in Autism. Journal of Child Neurology. DOI: 10.1177/0883073810385344

自閉症の子どもの走り方の改善方法とは

環境を設定する

 自閉症の子どもたちの走り方に対応する際、運動や日常生活の中での環境設定や対応も非常に重要です。安全な運動環境の確保は、子どもが安心して運動できる基盤を作ります。これには、滑りにくい床材の使用や、鋭い角のない家具の配置、十分なスペースの確保などが含まれます。また、運動に適した服装と、適切なサポートを提供する靴を選ぶことも大切です。

 特に、バランスを保つのに役立つ、しっかりと足にフィットする靴が重要です。靴が大きすぎると、靴の中で足が滑りやすかったり、滑らないように足の指を握ってしまうことで、正常な蹴りだしが出来なくなります。また靴が脱げないように足を引きずるようになったり、水ぶくれの原因にもなったりします。一方で靴が小さいと、圧迫による痛みや指・爪の変形、血行不良などの可能性が考えられます。

運動面

 運動面での対処法は、子どもの運動能力を向上させることに焦点を当てます。バランスと協調性の向上、筋力と柔軟性の強化、運動計画と実行能力の高めることが重要です。具体的な運動としては、バランス運動、ストレッチと筋力トレーニング、協調運動ゲームなどが効果的です。以下に自閉症の子どもの走り方を改善するためのおすすめの運動を紹介します。これらは実際に『へやすぽアシスト』でも行っている運動ですので、誰でも簡単に行うことができます。子どもと一緒に楽しく改善していきましょう♪

①ギッコンバッタン

①二人で向かい合って足の裏をくっつける。

②タオルを持ち、お互いに引っ張り合う!

③膝が曲がらないようにやってみよう!

これは足首や股関節のストレッチを目的とした運動です。始めはゆっくり少しずつやってみて、徐々に大きく動かしてみましょう。足首が柔らかくなることで、踵がつきやすく、つま先歩きの改善も期待できます!

 

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②綱渡り

①細く畳んだタオルの上を綱渡り!

②歩幅を狭くして、落ちないようにチャレンジ!

これは姿勢をよくする体幹やバランス能力を鍛えることができます!タオルの上を歩くことで、足裏の感覚も同時に鍛えることができるので、ぜひやってみてください!

 

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③ツイスターゲーム 

①いくつかの色のフープ(もしくはタオル)を用意し、床にランダムに設置する。

②ママは手足をどの色に入れるか指示する。(例:「右足を黄色!!」)

③子供は指定されたように手足をつけ、床に体全体がつかないようにキープ!

④一度置いた手足は、次の指示があるまでできるだけ動かさない。

 少ない接地面で姿勢を維持するため、バランス感覚や手や足裏の感覚を鍛えることができます。さらに手足のみで体を支えることで、体幹強化も期待できます!

 

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 自閉症の子どもはつま先で歩いたり、ぎこちない歩き方をしたりします。これらは体を支える体幹を上手く使えていないことがあったり、足裏から伝わる地面の感覚を上手く処理できないことなどが原因で起こります。そのため、ただ歩き方を口頭で修正しようとしても、なかなか改善しないのです。こうして「大人の感覚で話をしてもなかなか伝わらない」という現象が起こるのです。まずは感覚統合や粗大な運動の向上から始めてみましょう。

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      「子供の体幹を鍛えるトレーニング9選」

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へやすぽアシストで遊びながら子どもの走り方を改善しよう!

子どもの走り方はもちろん人それぞれですが、負担のかかる走り方は子どもの将来に影響を与える可能性があります。また運動面は他の子と比べられがちで、それが結果的に自己肯定感の低下につながってしまう可能性もあります。

 「うちの子の走り方が変」「つま先で歩いていることがある」「走り方がぎこちない」などといったお悩みを持っている保護者の方はあなただけではありません。『へやすぽアシスト』では実際にそのようなお悩みを抱えているお子さんや保護者の方と一緒に運動を行っています。子どもの歩き方にお悩みの方は、まずは無料オンライン体験レッスンに参加してみませんか?事前にお子さまの好みや性格などを伺い、レッスンへの誘い方までご提案します。体験レッスンではお子さまに関するお悩みやお困りごとも、お気軽にご相談ください!

 お子さまの運動遊びやトレーニングに興味がある方は、へやすぽアシストまでお気軽にお問い合わせください!