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集団行動が苦手なのには理由がある!理由に応じた対応が必要

集団行動が苦手なのには理由がある!理由に応じた対応が必要

幼児教室や幼稚園など大人数が集まる場で、集団で行動することが苦手な子どもがいますよね。我が子が集団の輪に入れずにぽつんとしていると、「こんなことで将来大丈夫?」と不安になる保護者の方もおられるのではないでしょうか?

 

そこでこの記事では、集団行動が苦手な子どもが集団行動を苦手とする理由と対策を詳しく解説します。

「我が子が集団行動を苦手としている」とお悩みの保護者の方はぜひ、参考にしてください。

集団行動が苦手な理由

一口に「集団行動が苦手」と言っても苦手な原因はさまざま。集団行動が苦手なことを克服するためには、まずは苦手な原因をつきとめ、原因に合った対策を取ることが大切です。

集団行動が苦手な理由には、次のようなことが挙げられます。

年齢的なもの

2歳までの子どもは、集団行動はできなくて普通です。3歳くらいになると言葉もずいぶん発達し、公園などでも友達と仲良く遊ぶことができるようになります。

 

とは言うものの、この時期は少しずつ周囲の子どもと関わりを持つことができるようになり、仲良く遊んでいるように見えますが実際にはおのおのが一人遊びをしている、という「平行遊び」の状態が多いです。

性格的なもの

活発で誰とでもすぐに仲良くなれるタイプの子どもは、集団にもすんなり溶け込むことができます。

ですが、マイペースで周囲に合わせて動くのが苦手な子どもや引っ込み思案な子ども、人見知りする子どもは集団に溶け込むのに時間がかかります。

集団行動に慣れていない

小さい頃から一人で過ごすことがほとんどで、他人と関わる経験が極端に少なかった場合は、いきなり保育園や幼稚園などで集団行動を要求されてもどのようにすればいいのかがわかりません。

環境に問題がある

上記でも触れたように他人と関わる経験が少ない環境で育った場合、集団行動が苦手となることがあります。

 

また、不適切な養育を受けて愛着行動(親の保護を求めるために子どもが行う行動)に問題が出てしまう場合には、攻撃的に反応する、最低限にしか反応しなくなる、注目を集める行動をする、どこまで許されるかを試すような行動をする、などを行い、集団行動が困難になることがあります。

発達障害がある

アスペルガー症候群や自閉症スペクトラムなどの広汎性発達障害がある場合は、特性として社会性に困難があり、場の空気を読めなかったり人とうまく関わることができなかったりして、集団行動ができないことがあります。

 

また、注意欠陥・多動障害(ADHD)の場合はじっとしていることが苦手なので、集団で一つのことに取り組むことが苦手です。

その他にも、知的能力に障害がある場合は、情報の収集や処理ができないため何をしたらいいのかがわからず、集団で行動できないことがあります。

HSC

HSCとは「Highly Sensitive Child」の略で、感覚が人一倍するどい子どものことを指します。

生まれつき感覚が敏感で、周囲の空気を敏感に察しすぎて慎重になったり、人の感情に強く反応するため、他の子が叱られているのを見るだけで自分が叱られているように感じてしまったりします。

人の負の感情を敏感に察するため、集団にいるとストレスを強く感じてしまい、苦手になってしまうことがあります。

集団行動が苦手な場合の対策

集団行動が苦手な子どもに対しては、以下の対策が有効です。子どもの状態と照らし合わせて、子どもに合っている、と感じた対策を実践してみてください。

親はあせらないこと

「このままでは将来きっと大変なことになる!」とあせるあまり、「なぜみんなと同じことができないの?」などのネガティブな言葉かけをしたり、叱ったりすることは厳禁です。

「お兄ちゃんはこんなことはなかった」「●君はみんなと仲良く遊んでいるのになぜあなたはできないの?」など、他の子どもと比べることも避けてください。

子どもは「自分は人ができることができないダメな人間なんだ」と自己否定感を持ってしまい、集団の中で萎縮してしまいます。

 

また、本人が嫌がっているのに無理に集団行動に参加させるのもトラウマになってしまうのでやめましょう。

子どもの話をじっくりと聞いてあげる

子どもが集団行動できない場合には、叱らずになぜそのような行動を取るのか、じっくり子どもの話を聞いてあげてください。

話を聞いたらまずは「●君はこう考えているんだね」と子どもの気持ちに寄り添い、肯定しましょう。

 

それから、集団でどのような行動が求められているのかを、わかりやすく説明してあげてください。

単に自分が集団行動ができていないことがわかっていないだけだった、ということもあります。

不安感を取り除いてあげる

集団行動が苦手な子どもの中には、集団の中に入ることに緊張や不安を強く感じている子どももいます。

この場合は、はじめは親が側に付き添ってあげて、「ママが見ていてあげるから大丈夫だよ」と不安を取り除いてあげると、子どもは安心して集団の中に入っていくことができるようになります。

場数を増やす

場数が足りないことが原因の場合は、公園、児童館、幼児教室、地域の子育てセンターなどに積極的に出向いて、他の人間と接する機会を増やしてあげましょう。

もしも子どもが嫌がったら無理に参加させることは避け、時期を見計らって徐々に再び機会を増やしてください。

専門家に相談する

上記で挙げた対策を採っても改善しない、子どもの様子に違和感を抱く、環境よりは発達に問題があるように思える、などの場合は、一度専門家に相談することをおすすめします。

専門家の診断で発達障害などが原因だと判明した場合は、専門家の指示に従った対処法を行ってください。

障害がある場合は園や学校にはあらかじめ報告しておく

障害が原因で集団行動が苦手だと判明している場合は、幼稚園や小学校にはあらかじめ報告しておきましょう。

障害が原因だとわかっていれば、それに合った対応をしてもらうことができます。障害が原因とわからないと「わがまま」「親の育て方が悪かった」などと言われて親も子どもも辛い思いをすることがあります。

 

とくにHSCは障害ではなく特性でまだあまり知られていないため、あらかじめ知ってもらっておくと子どもの負担が減ります。

まとめ:集団行動が苦手な理由をつきとめて適切な対応を取ることが重要

一口に「集団行動が苦手」と言っても、いろいろな原因があることを上記で解説しました。

発達障害のせいで集団行動ができない子どもに、発達障害がないけれども集団行動が苦手な子どもと同じ対応をとっても改善されません。そのため、原因にあった適切な対応をすることが重要です。

単に集団行動の場に慣れていない場合や引っ込み思案、人見知りなどの性格的なものが理由の場合は、場数を踏みながら成長していくにつれて改善されていきます。

 

ただし、幼稚園や小学校でいきなり集団の場に放り込まれてしまうと、トラウマになって苦手意識を持ち、改善に時間がかかってしまうこともあります。

この記事で紹介した対処方法を、子どもが小さい頃から負担にならないよう気をつけながら実践していくと、スムーズに集団行動ができるようになるでしょう。