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子供がスキップできない?理由と改善のコツを解説!

子供がスキップできない?理由と改善のコツを解説!

子どもが5歳くらいになると、スキップができるようになってくるのではないでしょうか。周りの友達がスキップできてくるとそれを模倣して自分もスキップをしようとします。

その時にスキップができれば良いのですが、できない場合注意が必要かもしれません。周りはできるのに自分ができないと、どうしてできないのだろうとスキップに対して苦手意識を持つことがあります。

そして、そのマイナスイメージはスキップだけでなく運動への苦手意識に繋がりうるのです。

 

本記事ではスキップができるようになるためのコツを解説していきます。

スキップができない子どもが増えているのを知っていますか?

近年スキップのできないお子さんが増えてきていると話題になっています。スキップは筋力や自分の体を操作する能力である協調性が高くないとうまく行えない動作です。

 

平成24年の文部科学省幼児期運動指針ガイドブック(2012)によると、

“5歳児になっても、一段ごとに足を揃えなければ階段を降りられない幼児や、座らなければ靴を履き替えられない幼児がいるということを聞きます。このことは、かつては幼児期に身に付けていた動きが十分に獲得できておらず、その結果、自分の体の操作が未熟な幼児が増えていることの表れと言えます“(P.18)

としています。

 

スキップなど自分の体の操作が苦手な子どもが増えていることを国が認めているのですね。

なぜスキップできない子どもが増えているのでしょうか?

その理由は外で遊ぶ機会が減っていることが影響しているようです。

 

前掲書の中で、

“現代の幼児の遊びは、活発に体を動かすものが少なくなっているようです。日本小児保健協会の調査によると、よく行う遊びについて「お絵かき・粘土・ブロックなど の造形遊び」が平成12年の調査では62%だったものが、平成22年では75%で1位となるなど体を動かさない遊びの割合が高く、特に遊びに占める「絵本」「テレビ・ビデオ」の割合は、10年前に比べて約2倍に増えていることもわかりました。” (P.18)

との記載があります。

 

最近の子どもは外で遊ぶ時間が減っていて、体を動かす活動量自体が少ないのです。そのため遊びの中で複雑な身体の動きをする機会が減り、スキップができない子供が増えている理由の一つになっていると考えられています。

スキップって何歳からできるようになるのでしょうか?

子どもの一般的な発達をスクリーニングする目的で開発された遠城寺式乳幼児分析的発達検査においては、スキップができるようになるのは大体5歳頃と考えられています。そしてこの時期は、Scammon(1930)によると神経系の発達が著しくさまざまな神経回路が形成されていく時期であり、5歳頃までに神経系が約80%まで発達する1)と言われています。

 

またGallahue(1982)は、6~7歳までに基本動作の習得が完了する2)と運動発達と年齢区分を定義しています。この時期に神経回路へ刺激を与え、さまざまな動きを経験させることが重要なのです。

あなたのお子さんはスキップできますか?

スキップができるかどうかということは幼児期の発達においてよくチェックされる項目の1つです。できないからといって正常な発達から遅れているというわけではありませんが、ひとつの目安であることは間違いないでしょう。

 

スキップができるということは他の複雑な運動をするための下地が整っているということです。お子さんのスキップができるかどうかまだ見たことがないのであれば、ぜひ一度スキップをさせてみてはいかがでしょうか。仮にスキップができなかったとしてもがっかりと肩を落とす必要はありません。

以下でその理由を説明していきます。

 スキップができない理由って?スキップ獲得のためのベースの4要素

スキップができないのは生まれつき運動神経が悪いからという人がいますよね。生まれつきだからできなくても仕方ないと、半ば強引に納得されている方もいるのではないでしょうか。

 

確かにスキップは難しい動作の一つですが動作を分解してみてみるとそこまで難しいものではないということに気がつきます。スキップは足の筋力、片足バランス、リズム感、協調性の4つで構成された運動です。これら4つの要素が足りていない場合に、スキップできない可能性が高いのです。つまりこれらの要素を獲得することを目指しながらスキップの動きを実際に行っていくことで、少しずつスキップができるようになるのです。

やってみると簡単?すぐにスキップができるようになるコツ!

スキップは遊びながら鍛えていくことが一番の近道です。スキップに似た遊びをしていくことでスキップができるようになるはずです。おすすめはケンパ遊びです。繰り返し行うことで、4つのうち片脚バランスと筋力、リズム感の、3つの能力の向上に繋がります。

実はケンパの動きは、スキップ動作の基本となるのです。ケンパ遊びは”ケン”で右足を使って飛び、次に”パ”で両足を開きます。さらに反対の足で同じ動作を繰り返し、”パ”で両足を開いて終了です。何度も繰り返し行いましょう。

 

できたら次は、”ケンケンパ”や”ケンパッパ”など形を変えて行います。それもできるようになれば次の段階です。右足で”ケン”して飛び、その後で気をつけの姿勢をとります。左足も同様に行います。スキップができるようになるためには、気をつけの姿勢を取らなければいけません。この動作を繰り返すとリズムが身に付いていきます。

 

これもできるようになったらスキップ動作の模倣学習に移ります。スキップができる人を見本にしてそれを観察しながら実際にスキップ動作を行います。

スキップ動作を行うことで、最後の要素である協調性を獲得できます。協調性は動作特性に依存しています。

 

つまり筋力、バランス、リズムが揃った状態で習得したいスキップ動作を繰り返し行えば協調性も向上していきます。間違った動きについては、その都度声を掛けて修正します。修正しながら一緒に練習することで、子供はコツを掴みやすいはずです。

1番のオススメは両親で子供を挟んで行うことです。手をつないで一緒にスキップすることで飛び方のタイミングのコツが分かるようになります。

まとめ 

近年、スキップができない子どもが増えてきていると言われていますが、外で遊ぶ機会が減ってきてしまっていることが主な原因の一つと考えられています。外遊びが減った理由としては都市化に伴う自然や遊び場の減少、少子化に伴う兄弟友達の減少、学習塾へ通う子どもの増加や科学技術の発達に伴うゲームやパソコンへの興味が増えたことなどです。スキップを含めた運動発達を促すためにも、意識的に外遊びをする機会の検討をしなければいけませんね。

 

また、運動発達においてスキップができることが1つの指標になっていることを考えると、一度お子さんがスキップをできるか見てみても良いのではないでしょうか。もしスキップができなくてもがっかりすることはありません。なぜならスキップは正しい練習を繰り返すことで獲得できる運動だからです。今回の内容を参考にしてぜひ試してみてくださいね。

 

<参考文献>

・文部科学省幼児期運動指針ガイドブック(2012).「幼児期における身体活動の課題と運動の意義」.文部科学省.

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/sports/detail/__icsFiles/afieldfile/2012/05/11/1319748_5_1.pdf,(参照2021-11-28).

・Scammon, R.E. The measurement of the body in childhood. In J.A., Harris, C.M. Jackson., D.G. Paterson, and R.E. Scammon, Eds). The Measurement of Man, Univ. of Minnesota Press, Minneapolis. 1930.

・Gallahue, D, L. Understanding motor development in children. John Wiley & Sons.1982.