執筆:まさやコーチ![]()
指導実績1万人以上、理学療法士・作業療法士など200名超が在籍するへやすぽのマネージャーコーチ。
一児の父・理学療法士として急性期病院での臨床経験をもとに、これまで自身では1,000人以上の発達に悩む子どもの運動・姿勢改善をサポート。「不器用さ」の原因を感覚・身体機能の視点から分析し、根本からの改善に取り組んでいる。
じっとできない子ども、ソワソワしちゃうのはなぜ?
「何度言っても椅子にじっと座れない…」
子どもに分かるように伝えているのに、全く改善せず困っていませんか?
ついイライラする自分を責めてしまって落ち込むこともありますよね。
そんなお子さんの落ち着きのなさは意志や躾の問題ではなく、実は感覚の発達と深く関係しています。
今回はその原因の仕組みやおうちでできる対応の仕方について、ご紹介します。
じっとできないのは感覚統合がうまくいっていないサイン
原因は感覚統合にある
感覚統合とは、視覚・聴覚・触覚・固有覚・前庭覚などの感覚情報を脳が整理し、適切な行動を引き出すしくみです。
人は無意識のうちに、触った感覚、体の位置、揺れや傾きなどの情報を脳でまとめています。その情報をもとに姿勢を保ったり、力加減をしたり、集中したりしているのです。
つまりこの感覚を上手く整理できる状態になって初めて、「座って話を聞く」「字を書く」「運動する」「感情をコントロールする」などの日常生活や学習がスムーズに行えるようになるということです。

メモ
前庭覚:体の傾きや揺れを察知するセンサー。バランスをとるために必要な感覚。
固有覚:力の入れ具合や関節の動きなどを察知するセンサー。力加減の調整や体を思った通りに動かす際に必要な感覚。
感覚統合がうまくいかないと、なぜ体が止まらなくなるのか
感覚統合が上手くいっていないお子さんの中には「集中力がない」「落ち着きがない」という特徴が目立つことがあります。
これはそのような性格や育て方の問題ではなく、感覚処理の未熟さが隠れていることに原因があります。
特に固有覚(体の位置・力の入れ具合を感じる力)や前庭覚(バランス・重力感覚)の処理が未発達だと脳が体の各部位の位置や姿勢を把握しにくく何だか不安定な感じになります。
すると動き回ったり揺れたりすることで感覚の情報を増やし、自分の体の存在を内側から確認しようとします。つまり、体を動かし続けるのはふざけていたり躾がなっていなかったりするのではなく、自分の体を感じるためのことなのです。
落ち着きがない子どもに多い、感覚の偏りのパターン
小学生になると落ち着きのなさが目立つ場合、本人の問題というより、小学校の環境変化が大きく影響していることがあります。
幼稚園や保育園に比べ、小学校では長く座る、静かに作業する、指示通りに動くことが多く求められます。
感覚処理の機能が未発達な子どもは、姿勢を保とうとしても体を動かして調整しようとするため、ソワソワして見えやすくなります。
さらに学校は音や動きなど刺激も多いため、感覚面の課題が表れやすくなるのです。
①感覚を求めすぎるタイプ(感覚探求)
お子さんの中には、刺激が足りないと感じやすいことから、動き回る、ぶつかる、人や物を触ったり強く叩いたりするという行動が出やすいタイプがいます。
この場合「落ち着きがない子」というレッテルを貼られることが多いです。しかし、「感覚探究」という感覚を求めている状態である可能性があります。
感覚統合の観点では脳が必要とする刺激の質や量には個人差があるのです。
感覚刺激が足りないと感じやすい子は、自分から動いたり、触ったり、強く接触することで無意識に感覚入力を増やそうとします。
特に筋肉や関節の感覚である固有覚や体の傾きや回転を感知する前庭覚を求めるお子さんの場合は走る、跳びはねる、揺れるなどの行動として現れます。
これはわざとやっている訳ではなく、感覚刺激を得ることで自分の体を感じるために行っているのです。
実際にへやすぽのレッスンでも体を思い切り動かした後ではコーチのお話しをしっかり聞くことができるようになるお子さんがたくさんいます。
つまり問題行動ではなく、体と脳にとって必要な行動と考えることが重要です。
②感覚が過敏すぎるタイプ(感覚過敏)
ちょっとした音で驚く、服のタグや素材を嫌がる、過度にまぶしがる、人に触られるのを拒否するなど、些細な刺激に強く反応するお子さんがいます。
このようなタイプは「感覚過敏」と呼ばれ、感覚統合の観点では、感覚を過剰に感じ取ってしまう状態です。
他の人にとっては気にならない音や光、肌触りでも、本人にとっては大きすぎる刺激や不快感、痛みに近い感覚として感じることがあります。
そのため、その刺激から逃げようとして席を離れる、体を動かす、姿勢を変える、耳をふさぐなどの行動が見られることがあります。
これらの行動は「落ち着きがない」「じっとできない」と解釈されることがありますが、実際にはふざけているわけでも我慢ができないわけでもなく、苦痛な感覚から自分を守るための行動です。
つまり体を動かそうとして動いているのではなく、不快な刺激から逃れるために動かざるを得ない状態だといえます。このように落ち着きのなさの背景には、感覚の過敏さが隠れていることがあります。
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動きたい欲求を安全に満たす時間をつくる
感覚探求タイプの子どもは、体を動かして感覚入力をすることで気持ちを落ち着かせています。
そのため「動いちゃダメ」「座っていなさい」と止めるだけでは、かえって落ち着きがなくなってしまうことがあります。大切なのはソワソワしないように注意することではなく、「動いていい時間」と「集中する時間」を区切ってあげることです。
例えば、トランポリン・かけっこ・重い物を持つなどの動きは筋肉や関節の感覚である固有覚に刺激が入り、自分の体を認識しやすくなります。
その後は一定時間止まっていても自分の体を認識しやすくなるので、じっと座っていることも苦じゃなくなるのです。つまりまずは体を動かして感覚を満たしてから集中するという順番を作ることで、無理に我慢させなくても落ち着いて過ごせる時間が増えていきます。
動きたいという欲求は欠点ではなく、勉強に集中するために必要な行動なのです。
動きたい欲を満たしてあげるには、お家遊びがおすすめです。手軽にできるものとして一つ、へやすぽのInstagramでも特に人気だった”動物歩き”という遊びをご紹介します。
ぜひやってみてください!🎵
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環境を整えて感覚の負荷を下げる
感覚過敏タイプの子どもに対しては「慣れさせる」「我慢させる」よりも、まず環境調整で感覚の辛さを減らすことが重要です。
本人にとっては、周囲の音・光・肌触りなどが強すぎる刺激となります。このような状態で「ちゃんと座って」「集中して」と無理に頑張らせても、感覚の負担が大きいことが原因で勉強などに集中できないことが多いためです。
環境調整の例としては、
・座る位置を壁側や教室の前の方にして刺激を減らす
・照明がまぶしい場合は席の位置を変える
・衣服の肌触りが気になる場合はタグや素材を見直す
・音がうるさい時はテレビの音量を下げたり消す
などが挙げられます。
このような環境調整の工夫をすることで自然と感覚過敏の子の負担を減らすことが可能です。大切なのは、お子さんの努力不足と考えるのではなく、環境を変えれば過ごしやすくなるかもしれないという視点を持つことです。注意する前に環境を整えることが、落ち着いて過ごすための第一歩になります。
専門家への相談を検討したいサイン
日常生活・学校生活への支障が続いている場
お子さんの落ち着きがない様子は、成長の過程で一時的に見られることがあります。ただ、そのような状態が長く続いたり日常生活に支障が出たりしている場合は、一度専門家に相談することも選択肢の一つです。
例えば、
✅友達とのトラブルが多い
✅授業中に席に座っていらないことが頻回に見られる
✅家でも食事中に座っていられない
✅少しも休まず常に体を動かさないと落ち着かない
このように、複数の場面で困りごとが続いている場合は、体の使い方や感覚処理の未発達さがある可能性があります。
ここで重要なのは、相談すれば診断がつくということではないという点です。専門家への相談は困っている原因を正しく理解し、その子に合った関わり方や環境調整の工夫を知るための第一歩となります。早めに原因を把握することで、子どもも周囲も過ごしやすくなる方法を見つけやすくなるのです。
発達支援の専門家ができること
理学療法士や作業療法士による感覚統合アプローチでは、子どもの体の使い方や感覚の特性を評価し、その子に合った支援を行うことが可能です。
例えば、落ち着きがない子、すぐにソワソワする子など、それぞれの行動には感覚の感じ方や処理の仕方に違いがあるという理由が隠れています。そのため発達の専門家による前庭感覚・固有覚などの感覚特性の評価によってお子さんの行動の原因を知ることが重要です。その上で発達の土台となる運動遊びを行うことでじっと座る、集中するという力を伸ばしていくことができます。このような支援としては単に遊んだり運動したりすれば良いというわけではなく、なぜ今この運動が必要なのかという発達の順番やお子さんの特性に合わせて行うことが非常に重要です。
そのため親御さんだけでお子さんの困りごとを抱える必要はありません。発達のプロと一緒に遊びながら感覚統合アプローチを行い、関わり方を考えていくことで親子で楽になることができます。詳しい考え方や具体的な関わり方については、セミナーでも分かりやすくお伝えしています。
まとめ
お子さんのじっとしていられない、落ち着きがないという様子は、「しつけができていない」「本人の努力が足りない」と考えられがちです。しかし実は感覚統合の発達が関係している場合があります。体に入ってくる感覚をうまく処理する力が未熟だと、無意識のうちに体を動かしてしまうことがあるのです。つまり行動だけを見て注意するのではなく、なぜその行動をしているのかを考えることが大切です。ご家庭では、体を動かして感覚を満たす時間を作ること、刺激が強すぎる場合は環境を整えて負担を減らすことがポイントになります。
”落ち着きのなさ”が気になるなら、「発達の土台を育てる」こと
「じっとできない」「宿題中に立ち歩く」「座っていられない」などの子どもの困りごとには、発達の土台を育てることで解決することが多くあります。
もしまだ「発達の土台を育てる基本」についてご存知なかったら…
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